Chairmans EYE -第一節展望-

CHAIRMANS EYEとは
30リーグチェアマンの上田ダイゴが
各団体の紹介や試合の見どころを
独断と偏見と妄想で紹介するコーナーです
今回は第一節
『ルイボスティーはバニラの味×夜に静か』を
独自の目線で徹底解説します

前代未聞の演劇リーグ戦として生まれた30リーグも今年で四年目。若手演劇人の登竜門的イベントとして関西小劇場界に定着して来た事を示すかの様に、今年も参加6団体中4団体が2年以内の旗揚げ団体というフレッシュな顔ぶれがエントリー。さらに参加6団体中3団体はユニット名こそ変更しているが30リーグリベンジ組といえる団体。立場は違えどこの大会を機に立身出世を狙う血気盛んな6団体によって第四代王者の座を争う事となった。
そんな大混戦が予想される30リーグ2025の開幕を飾るのが第一節『ルイボスティーはバニラの味×夜に静か』。両団体ともこのユニット名では30リーグ初参加であるが、お互い過去の30リーグに違う形で参加しているので、ある意味30リーグリベンジ組対決と言える顔合わせだ。
CHAIRMANS PREDICT
まず紹介するのはユニット名が長い『ルイボスティーはバニラの味(以下ルイバニ)』。団体としては石崎麻美のソロユニットとして今年旗揚げしたばかりであるが、石崎は去年の30リーグ2024にて質の高い2作品を披露し、30リーグ優勝こそ逃したものの30GP出場を辞退したわくらばに代わって、観客の投票により30リーグ代表に選ばれた『にほひ』の団員でもある。つまりユニットとしては30リーグ初参加であるが、30リーグの戦いは熟知しているユニットだ。
作風に関しては今回が初参加なのでまだなんとも言えないが、主宰で脚本を担当する石崎は2021年に『かしこしばい』のメンバーとして30×30で脚本作品を上演しており、その際のイメージだけで語るのであれば、その後にほひに合流したのも頷ける、心の機微を繊細に描いた作風であったと記憶している。
第一節のオーダー表を見ても演出ににほひの古後七海を迎え、さらに出演者にも前回30リーグ2024にてにほひの作品に出演した香菜海(彗星マジック)を起用しており、ユニット名こそ違えどにほひのリベンジをソロユニットで果たそうという気概が伺える布陣が興味深い。

そんなルイバニと戦う『夜に静か』も、このユニット名では30リーグ初参加だが、前回30リーグ2024に参加した『カムパネルラ』の容原静のソロユニットであり、こちらは正真正銘のリベンジ組と言っても良いユニットであろう。
作風に関してはカムパネルラ名義の作品で語るなら、己の内面を己のスタイルで曝け出し続け、結論は観客にすべて委ねる様な、アート性の高い前衛的なスタイルと言った所だろうか。その作風が尤も顕著に現れたのが30リーグ2024の第五節。諸事情により本番前週に上演作品を急遽変更する事になったカムパネルラは、容原一人で舞台に立ち、全編フルスロットルで自作詩を諳んじるというプリミティブ且つパワーに溢れた作品を披露。戦いに敗れはしたものの強烈なインパクトを残した。
はたして夜に静かではどのようなパフォーマンスを披露するのかが注目だが、同じソロユニットなのにわざわざユニット名を変えて参加したところを見ると(カムパネルラは30リーグ2024開催中に団員が増えたがエントリー時はソロユニットだった)カムパネルラとはまた違ったスタイルの作品を披露してくれるのではないだろうか。
この様にユニット名は違えど30リーグの戦いは経験済みの両団体による対決となった第一節。当然初戦の重みも十分承知しているであろう両者だけに、作品内容はもちろん、どの様な『勝つための戦略』を用いてくるのかにも注目してご覧頂きたい。
上田ダイゴ(30リーグチェアマン)
※敬称略
