Chairmans EYE -第三節展望-

CHAIRMANS EYEとは
30リーグチェアマンの上田ダイゴが
各団体の紹介や試合の見どころを
独断と偏見と妄想で紹介するコーナーです
今回は第三節
『AND FAMILIARS×ルイボスティーはバニラの味』
を
独自の目線で徹底解説します

熱戦が続く前代未聞の演劇リーグ戦30リーグ2025。前半戦最後の公式戦となる第三節『AND FAMILIARS×ルイボスティーはバニラの味』は、早くも火リーグ優勝が決定する可能性のある重要な戦いとなった。
CHAIRMANS PREDICT
まずはこの第三節が30リーグ2025初陣となる先攻の『AND FAMILIARS(以下FAMI)』を紹介しよう。この団体名でピンと来る方もいるかもしれないが、FAMIは30リーグ2023に参戦した『遊劇!浪漫派FAMILIAR』が団体名をマイナーチェンジし、2年ぶりに参戦して来た30リーグリベンジ組である。しかも元々『遊劇!浪漫派FAMILIAR』 は火ゲキ30×30に参加するために組まれたユニットとの事なので、 30リーグはもとより30×30形式への造詣も深く、参加団体中屈指の実戦経験豊富な古参団体と言えるだろう。
作風に関しては家族をテーマにしたハートウォーミングなものが多く、2023年の大会ではリーグ戦2試合をコメディタッチのホームドラマで戦い抜き、そのイメージを決定的なものにした感がある。今回団体名を変更したものの『FAMILIAR*』という言葉を残した事からも、その作風は引き継いでいるものと考えて良いだろう。*FAMILIARは『親しい』『お馴染み』という意味の他、稀に『家族』として使われる場合もある
ただし戦い方は大きく変化している可能性が高い。というのも30リーグ2023ではリーグ戦で敗退したものの観客投票によりその年の30GPに出場。一年間で演劇バトルの酸いも甘いも経験した団体だけに、勝つために必要な事を身をもって学習したからだ。
熱い戦いを求めて再び30リーグのリングに戻って来たFAMIだけに、勝負へのこだわりは並々ならぬものがある筈だ。団体の持ち味である老若男女が楽しめる『面白い演劇』を進化させた、『面白くて勝てる演劇』に期待したい。

対する後攻の『ルイボスティーはバニラの味(以下ルイバニ)』は早くもリーグ最終戦。第一節の対『夜に静か』戦を勝利しているので、この試合に勝てば第五節を待たずに火リーグ優勝が決定する。もし負けた場合、優勝は第五節の試合結果如何となるが、可能性としては低くなってしまうので、ここは是非とも自らの勝利でリーグ優勝を決めてしまいたいところだ
第一節ではハンバーガーショップを舞台に、会話に花を咲かせる女子高生とその空間を漂う老人(天使?)という、リアルとファンタジーが交差する作品『ふらい ふらい あうぇい』を披露。団体の方向性を示すと同時に、その実力を存分に見せつけた。ただ、戦いとしては対戦相手の『夜に静か』と作風がかなり違っていたため比較による審査が難しく、最終的には『個人の好み』で判断せざるを得ない異種格闘技戦の様な戦いとなってしまった感がある。
今回の対戦相手となるFAMIとは、作風的にはそこまで近しい訳ではないが、第一節で見せた様な『家族の関係性』をテーマに据えるのであれば、比較的手の合う相手と言えるのではないだろうか。作品以外の要素でも出演者がFAMIが3名に対してルイバニ4名と、お互い30分作品としてスタンダードな人数。また団体のキャリアとしてもルイバニ主宰の石﨑麻美と演出を担当する古後七海が所属する団体『にほひ』が30リーグおよび30GPに参戦経験がある事を考慮すると、ほぼ互角と見ても良いだろう。
まさにお互い一歩も譲らないがっぷり四つな状態だが、そうなるとキーポイントになって来るのが上演順番。有利と言われる後攻のルイバニが、このストロングポイントを効果的に使いこなせるかが勝敗の分かれ目になるかもしれない。
お互い団体名こそ変わったが30×30形式の戦い方を熟知している両団体だけに、観客はもちろん他の参加団体にも『これぞ30リーグの醍醐味!』と思わせる様な熱い闘いを期待したい。
上田ダイゴ(30リーグチェアマン)
※敬称略