RIVALS EYE【第五節:ルイボスティーはバニラの味】

RIVALS EYEとは
ライバル達が熱いホンネをぶつけ合う
30リーグ2025参加団体による公式戦の観戦レポートです
今回は第五節
『夜に静か×AND FAMILIARS』
を
ルイボスティーはバニラの味がレポート
はたしてライバルはこの試合をどう観たのか?

夜に静か『PAIN』
なんだかとてもアツい作品だなと感じた。
容原さんの書くセリフは、容原さん自身と容原さん自身とのとの対話なのだと思う。
まあ劇作家は言ってしまえば自分と自分の対話を書いているにすぎないのかもしれないが、容原さんの作品は特に作家自身の声が強い気がする。作者の等身大の思いが聞こえてくるというか。
女が死にたがっている。本来の筋書きでは女は青年に殺されるはずだったが、女は自分で死を選んだのだろうか。
登場人物達が「これが芝居だ」と認識していて、それ故か舞台ツラに腰掛け、舞台と客席の境界線を越境してくる演出が印象的だった。
容原さんは演劇で詩をやろうとしているんだな、と思った。挑戦的で面白い。このまま突き進んで欲しい。
AND FAMILIARS『回想ー30分後に君が来るからー』
いなくなった家族の温もりに対する淋しさを丁寧に描いているという印象だった。
その人が存在した証が、よりその人がいないことを感じさせてたまらない気持ちになることってあるよなあ。
カレーを食べるシーンでカレーの香りが劇中に漂ってきた。香りを感じる芝居って、劇場の人物たちが舞台上で生きているのを感じられて好きだ。
本当に細かいことで申し訳ないが、タッパーに入ったカレーの量が少ないことがめっちゃ気になってしまった。客席から見ると一食分に足りるか足りないかに見えて、「ご飯の量に対して足りる!?大丈夫!?」と余計なお世話なことを気にしながら観てしまった。
これは「お隣さんからお裾分けされたカレーのタッパー」という小道具に対するリアリティへの疑問なのだろう。カレーというものがとても大事なアイテムだったから特に。他人にカレーをあげる時ってたくさん作ってたくさんお裾分けするイメージだったので、ハタから見て「一食のカレーに足りる!?」と心配になるような量のカレーをあげるお隣さんってどうなんだ、と変なところが気になってしまった。これが意図されたものならば理由が劇中で明かされるべきだし、そうでないならノイズとなるので小道具としてもっとリアリティを持たせるべきだと感じた。
私がカレーのルー多めが好きだからかもしれない。だとしたらすみません。
そして1週間に1回、「カレーが好き」って言ってただけのお隣さんに届けてくれるハセガワくんがいい人すぎて。
だってカレーって結構手が込んでる料理じゃないですか。じゃがいもとか人参の皮剥きって結構めんどくさいし。
そしてそんな料理を頻繁に作ってくれてた楓さんの愛も感じた。愛する人がいなくなっても、我々はご飯を食べて進んでいくしかないのだ。
石﨑麻美(ルイボスティーはバニラの味)