RIVALS EYE【第五節:金木犀の肌】

RIVALS EYEとは
ライバル達が熱いホンネをぶつけ合う
30リーグ2025参加団体による公式戦の観戦レポートです
今回は第五節『夜に静か×AND FAMILIARS』を
金木犀の肌がレポート
はたしてライバルはこの試合をどう観たのか?

夜に静か『PAIN』
1週間色々なことを考えたけれど、抱いた感情をきっぱりと伝えることが、この作品に対する、最大限の敬意の払い方だと思うから、私は気持ちをきっぱりと書く。
前回の作品は好きだった。
だけど、この作品は、好きじゃなかった。
赤いパンツの男性のセリフに「(これは)演劇でもない」というセリフがあったと思う。それが、とにかく、イヤだった。
それは、このセリフが単独で問題だというわけではなくて、きっと、このセリフに代表されるような、この作品全体に流れている「なにか」が、私にとって問題だったのだと思う。
「演劇ではない」と言うのなら、なぜ、劇場でやるのだろう、と疑問に思う。
「演劇ではない」のならば、私たちは、なにを観に来たんだろう、と思う。
私は、演劇が好きだ。そして、だからこそ嫌いでもある。だけど、演劇をやっている。演劇とは、コミュニケーションの芸術だ。私は、人間を知るために演劇をやっている。
演劇ではないのなら、私はこの作品を観なくていい。私は、演劇を観に来た「観客」なのだから。
どちらかといえば、
「これは演劇ではない、と誰かが言うかもしれない。こんなのは詩の朗読だとか、ストーリーがないから云々とか、そういうふうに言って、これは演劇ではない、と言う人があるかもしれない。だけど、これは演劇だ。俺たちの演劇はこれなんだ。これは俺たちの演劇なんだ」
と、言ってほしかった。
私は、そんな演劇が観たかった。
AND FAMILIARS『回想ー30分後に君が来るからー』
まず目を引いたのは、キャスティングがいいな、ということである。
牛島さんは今回、この役に自分自身を当てられたわけであるが、その選択には妥当性が感じられた。牛島さんが持つどこかユーモラスでチャーミングな雰囲気は、このキャラクターによく似合っていた。
そして、宇佐木さんの、優しくもどこかチャキチャキとした雰囲気も、このキャラクターに対してしっくりきていた。
強いて言うなら、お母さんがカレーにふれるシーンが気になった。幽霊は基本的に物体にはさわれないというお約束があるし、この作品においても、なんだかほかのものにはさわれなさそうな感じだったので、カレーを小指につけて味見をしたときは少し、え?それできるの?と気になってしまった。
青草猫(金木犀の肌)