RIVALS EYE特別編【30CLIMAX:ルイボスティーはバニラの味】

RIVALS EYEとは
ライバル達が熱いホンネをぶつけ合う
30リーグ2025参加団体による公式戦の観戦レポートです
今回は特別編として決勝戦30CLIMAX
『8うーめい×ルイボスティーはバニラの味』を
ルイボスティーはバニラの味がレポート
決勝2作品のレポートを
喜びの声と共にお届けします!

うーめい『いちばん大きなひかり。』
30リーグで上演されたうーめいさんの3作品の中で、一番好きだった。個人的にしっとりした話が好きなので、少し不思議でキュートなお話を得意とするうーめいさんの作風でこういうお芝居を観ることができて楽しかった。
30×30の組み合わせは不思議で、2団体で共通したテーマがあることが多い。今回は「人外への恋対決」だったように思う。人外へ恋する人間を描く、となると不条理だったりファンタジーの要素が入ってくるので、設定の具体性がかなり大事になるなと、自身も人魚と人間との恋を書いてみて思った。なぜ人間ではなく月が好きになったのか?月のどこが良かったのか?たまきはなぜ引きこもりになったのか?この辺りの、たまきのバックグラウンドと月を好きになる理由の結びつきがもっと明確にあればより面白いと思う。たまきがコミュニケーションが苦手で、「月はしゃべらないから」という理由で月が好きなのであれば、作中でも少し登場した太陽でもいいのではないか。さらに例えば、普段使っているボールペンや冷蔵庫などもしゃべらないが、そういった無機物でも当てはまってしまう。また、今まで何度も月を見てきたはずなのに、なぜその日に月に恋をしたのか?が今いち説得力に欠けていたのではないだろうか。恋愛対象に月を選んだ作者のこだわりをもっと見たい。
もし私が同じテーマで書くとしたら、30分作品という制約もあり、たまきがすでに月に恋をしている状況から物語をスタートさせるかもしれない。
うーめいさんの作品は「キュートなこういうシーンが見たいんだ!」というのが見え、実際それがとてもキュートで、平日の疲れた心が浄化される。作者の癖(ヘキ)をまっすぐ表現する姿勢はそのままに、脚本の情報整理(人物同士の関係性の説明や、場所の説明)を丁寧に行っていけば、さらにグレードアップしたうーめいさんを見れるのではないだろうか。
しかし、共通したテーマ性もあり、いち観客としてとても良い対戦が見れたと思う。うーめいさんと一緒に対戦できてとても楽しかったです!対戦ありがとうございました!
ルイボスティーはバニラの味『海になったらむかえに来て』
幕が下りた芝居に作家があれこれ言うのも蛇足なのではないかと思ったが、優勝という結果をいただき、自分にとっても節目となったので文章に残させていただくことにした。
決勝戦参加作『海になったらむかえに来て』は、かなり苦しみながら書いた。いや、苦しまずに書く脚本などないのだが、今作は特に自分の利己的な部分や暴力的な部分を見つめながら書いた感じがして、普段の産みの苦しみとはまた質の違う苦しみを味わいながら書いた。題材としても、恋愛ものであったり現代ではない芝居であったりを書くのが初めてだったので、上演を観るまで脚本に対して「これ本当に面白い?」とずっと不安だった。
しかし、演出の古後七海や役者の皆さんがとても美しい世界を作り出してくれて、上演を観て「書いて良かったな」と思えた。
私は、演劇は上演が全てだと思っているので、自分が書いた脚本に対して自分の作品だという意識があまりない。書き上げた時点で作品は私の手を離れていて、上演作は演出や役者の作品だと思っている。
演出・古後七海改め古後先輩はすごい。高校演劇部の2個上の先輩という縁から今年のルイバニの火ゲキ30リーグ参加作3作品を全て演出してもらったのだが、優勝は間違いなく古後演出の力あってこそだ。古後先輩は「面白いかそうでないか」という明確な軸をもとに的確に役者に演出をつけていく。脚本を書いた自分が思いもよらなかった演出や、「なるほど!」と思う解釈でどんどん芝居が面白くなる。正直、その様を稽古場で横から見ていて嫉妬した。その才能を分けてくれよ!とも思った。でも、「才能」なんて言葉で片付けていいものではないのだろう。それはきっと、古後先輩が様々なインプットをし続け、稽古場で試行錯誤を重ねた結果なのだから。
だから、決勝戦の結果発表でルイバニ優勝を告げられた瞬間の古後先輩の涙を見て、これまで嬉しい思いも悔しい思いもしてきただろう彼女のあれこれを思い、帰ってから泣いた(実際の結果発表の場では泣いてるのを見てちょっと面白くて爆笑してしまった)(すみません)。
役者陣も、役にストイックに向き合う横山さん、物語の深淵まで考え続けてくれる岡田さん、劇中歌の作曲もしてくれた、役にまっすぐな妖怪美女・山本先輩、本当に素敵な皆さんのおかげで幕が上がり、そして下りた。皆さん本当に本当にありがとうございます。
最後に、これまで出演くださった役者の皆様、ご来場くださったお客様、そしてありがたい機会をくださり、様々なサポートをしてくださった火ゲキ実行委員会の皆様に心から感謝申し上げます。
ありがとうございました!
石﨑麻実(ルイボスティーはバニラの味)
