30CLIMAX直前アンケート:金木犀の肌
高い文学性を感じさせる脚本、細部まで計算の行き届いている洗練された演出、そして適材適所のキャスティングと、すべてにおいてクオリティの高い2作品を揃えた金木犀の肌。順位こそリーグ3位という結果になってしまったが上演した2作品の評価はいずれも高く、例えば 30リーグの様な観客投票型ではなく演劇関係者が審査員のコンペディションであれば優勝していたのではないか?という声も多かった。

高い文学性を感じさせる脚本、細部まで計算の行き届いている洗練された演出、そして適材適所のキャスティングと、すべてにおいてクオリティの高い2作品を揃えた金木犀の肌。順位こそリーグ3位という結果になってしまったが上演した2作品の評価はいずれも高く、例えば 30リーグの様な観客投票型ではなく演劇関係者が審査員のコンペディションであれば優勝していたのではないか?という声も多かった。
ド派手な衣装、大人数キャスト、舞台を縦横無尽に使った殺陣と、火ゲキ30×30の枠に収まらないスケールの王道エンタメで、大いに会場を盛り上げてくれた8プロ。ただそのスケールの大きさ故か上演時間を30分に収めきる事が出来ず、時間オーバーにより二試合計で16ポイントも減点されてしまったのは痛恨。結局その減点が響いて、僅差で惜しくも30CLIMAX進出を逃してしまったが、それも勝敗よりもお客さんの満足を優先するエンタメ精神故と思われる。まさに『負けて尚侮り難し』の印象を残した。
去年は『カムパネルラ』の主宰として30リーグに挑んだ容原静が、期間限定の個人ユニットとして再び30リーグに参戦。残念ながら今回も勝利を挙げることは叶わなかったが、他に比類なき個性的な2作品はいずれもインパクト大。好き嫌いのはっきり分かれる作風なれど評価する声は公演を重ねる毎に着実に増えて来ている模様。30リーグ期間中に『カムパネルラ』のメンバーが大幅に増えた様なので、次はぜひ新生『カムパネルラ』として30リーグに戻って来て欲しい。
30分には収まりきらない欲張りな姿勢が個人的に好感は持てた。前作よりもコメディ要素が薄く、男女の話に振られていて、エンタメ作品というよりは大衆演劇のように思えた。
個人的な話になるが、この公演を観た時は30リーグCLIMAX の台本の締め切りが迫っており、迫っているのに書けずかなりジリジリとしていた。でもこの公演を観てなんだかスッキリした。
対戦形式の公演という以上、作り手としては「勝ちたい」とか「負けたらどうしよう」といった雑念が頭によぎる。それは時にモチベーションになるが、時に創作の上では雑念となる。
しかし、この公演を観て、勝つとか負けるとかじゃなく、自身の癖(ヘキ)から逃げずに、自分が観たいものを作ればいいんだ!と腑に落ちた。憑き物を落としてもらった感じがする。ありがとうございます。